●CSR監査・社会責任監査(Social Responsibility Audit)とは?
監査といえば、品質監査や会計監査が一般的に知られていますが、社会責任監査は”働き方”に関する監査です。
1990年代に児童労働や強制労働を防ぐためにアメリカで始まりました。
社会監査(Social Audit)、倫理的な調達に関する監査(Ethical Sourcing Audit)など、別名で呼ばれることもあります。
●なぜ監査を受ける必要があるの?
社会責任監査を受けていることを取引の条件にする会社も世界的に増えており、日本ではまだあまり知られていない監査ですが、需要は年々高まっています。
日本語から輸入されたKaroshiが英語の辞典に載ってしまうぐらい、日本では長時間労働が蔓延していることが世界的に知られています。
長時間労働が続く環境は、働く人の心身の健康を害してしまう可能性が高いため、長時間労働に対して何も対応していない会社は取引相手としてリスクが高いと判断されてしまいます。
日本国内では時間外労働も含めた1週間の労働時間を規定するルールはほぼなく、多くの国際基準で採用されている1週間の労働時間は60時間を超えないようにするというルールを大幅に上回っている労働者も少なくありません。
監査を受けることにより、日本の国内法だけはなく、グローバル基準に準拠した労働環境を目指していることをアピールできます。
●何を監査するの?
大きく分けて、1)人事労務、2)安全衛生、3)環境、4)倫理の4分野を確認します。
4分野全てをカバーする場合と、1-3分野を部分的にカバーする場合があり、お申し込みいただく監査プログラム、取引先の指定の条件などによって、確認する範囲が変わってきます。
<一般的な社会責任監査で確認する代表的な内容>
1) 人事労務:労働時間、賃金、福利厚生、差別やハラスメント防止など
2) 安全衛生:職場の安全管理、リスクアセスメント、消防など
3) 環境:廃棄物、排水、煤煙など
4) 倫理:贈収賄の防止、コンプライアンス窓口など
以上の内容を、書類確認・現場確認・従業員インタビューを通して確認していきます。
●誰が監査を受けているの?
海外の取引先へ製造品を輸出するため、または国内の外資系との取引の際に、この監査が求められることが増えていることから、製造を担当している工場が監査を受けることが多いですが、オフィス、コールセンター、倉庫などを対象とする場合もあります。
●どれぐらい時間がかかるの?
監査内容、監査対象の事業所の規模にもよりますが、監査員1名もしくは2名体制で、1〜2日の監査がほとんどです。人数が多い、建屋の数が多い、協力会社の数が多い、外国人労働者が多いなど、確認内容が増えるとさらに日数が追加される場合があります。
●監査した後、どうなるの?
監査プログラムにもよりますが、指摘・不適合となった事項に関しては、一般的には是正が求められます。数ヶ月後にフォローアップの監査を実施して、是正状況を確認するという流れが大多数です。
取引先によっては定期的な監査の実施を求めており、1年や2年といった決められたサイクルで定期監査を受けることを求めている場合もあります。